豊橋技術科学大学海岸工学研究室では,以下のテーマについて研究活動を行なっています.

過去の卒業研究,修士研究

沿岸域における漂砂と地形変化

毎週行われている海岸測量

波や流れの観測に用いる計測機器

沿岸域での物質輸送の中でも,特に土砂の輸送は海岸・海底地形を変化させるだけでなく生態系などの生物相にも影響を及ぼします.このテーマでは沿岸域(海や河口部)での土砂移動の発生やその時空間特性,波や流れといった漂砂外力と土砂移動量との関係について研究を行っています.豊かな沿岸環境の保全や管理を行うための基礎的な研究です.

河口・海域での波浪・流況・漂砂の観測

沿岸の土砂移動について,どのように(移動メカニズム),どのくらい(移動量や移動方向)を明らかにするために,それを引き起こす波・流れ(海域)や風(陸域)を計測して解析を行います.

長期的な海浜縦断測量成果による地形変化特性の解明

当研究室では,1990年代より豊橋市太平洋側の海岸を約1週間毎に測量しています.このような頻度が高い海岸測量が長期的に継続されている海岸は全国でも貴重です.また,Webカメラを用いて汀線を計測する手法の開発にも取り組んでいます.これらの地形計測データを解析することで海岸地形の変化特性を様々な時間(年・季節・荒天期間など)・空間スケールで明らかにし,海岸侵食対策や砂浜環境の保全に役立てます.


漂砂に関する新しい計測手法の開発

浅海を操業する遠州灘のシラス漁船

超音波を用いた浮遊砂計測の実験

河川や海岸など,水域での土砂移動特性を把握するための計測方法には,クリアすべき技術的な課題が多く残っています.まだ不明な点が多い水域での土砂移動を明らかにするためには,計測情報の時間・空間スケールに対する充実が欠かせません.また,長期的な海岸管理に用いるためには,計測のコストパフォーマンスも重要なポイントです.当研究室では,超音波やX線分析を利用して沿岸での土砂移動を捉える手法の研究・開発を行なっています.また,漁船の操業中の情報を記録・解析することで海底地形やその変化を計測するユニークなモニタリング手法の構築にも取り組んでいます.

超音波を用いた河川・沿岸域の浮遊懸濁物質モニタリング手法の開発

河川や海岸など,水域での浮遊懸濁物質(特に,浮遊砂)モニタリングを行うための超音波計測器の開発およびそのデータ解析手法の開発を行います.また,取得した超音波エコーデータから,そこに含まれる砂の粒径分布を推定するためのデータ解析アルゴリズムの構築も試みています.

蛍光X線分析用いた土砂分布特性・土砂動態の把握に関する研究

X線による海浜や河川の砂の化学組成分析を行い,分析結果をもとに土砂の特性を把握します.それを遠州灘沿岸や天竜川流域,豊川流域で実施し,土砂の空間分布特性を調査します.さらに,砂の化学組成を手がかりに,流域・沿岸域での砂の移動を把握することを試みます.

シラス漁船の操業データを活用した高頻度・広域な海底地形モニタリング手法の構築

遠州灘沿岸で操業するシラス漁船は,非常に浅い海域で網を曳きます.この操業中の位置(GPS)や水深(魚群探知機)を記録して解析し,広域な沿岸の海底地形データを取得する低コストなモニタリング手法の構築に取り組んでいます.得られた地形データから地形変化や漂砂量を明らかにすることで,海岸管理に役立つ情報取得を目指します.


沿岸の防災と安全に関する研究

ライフセーバーと海水浴場での観測

津波シミュレーションの計算例

近い将来,太平洋沿岸では東海地や東南海地震による大津波が発生することが予測されています.また,伊勢湾や三河湾では台風による洪水や高潮の発生が心配されています.実験や数値計算,現地調査により,津波や高潮による沿岸災害,内陸・都市部への災害拡大に関する対策を検討し,地域防災への貢献を目指しています.また,海岸でのレクリエーション中に発生する溺水などの様々な事故を防止するためのモニタリング手法についても研究を行なっており,安心して活動できる沿岸域づくりに取り組んでいます.

沿岸域での津波・高潮・高波防災に関する研究

発生危険度が高まりつつある地震津波や台風による高潮・高波について,伊勢湾・三河湾や遠州灘沿岸域を対象として,数値計算(COMCOT,ROMS,SWAN)や現地調査,データ解析により,現象の把握や災害発生機構の解析,内陸・都市部への災害拡大に関する対策や災害発生時の避難に関する検討を行い,地域防災への貢献を目指します.

海岸の安全利用のためのモニタリング手法の開発

年間およそ二千人が海浜事故に遭遇していますが,海岸の安全利用をコントロールするための体制は不十分です.特に,利用者の数や行動,海域の波や流れをリアルタイムに把握するモニタリング技術は安全を確保する上で不可欠です.そこで,画像解析などの計測技術を用いて遊泳者の状況や離岸流発生をリアルタイムに定量化し,溺水などの事故を未然に防ぐモニタリングシステムの構築を目指します.


沿岸域の水・生物環境に関する研究

産卵のため海岸に上陸したウミガメ

足糸で砂粒子に固着したアサリ稚貝

水質の悪化や海岸の人工化など,沿岸域の生態系を取り巻く環境は経済活動の影響を大きく受けています.近年はマリンレジャー人口が増加していることもあり,自然環境に対する関心は高く,海岸保全活動も盛んになってきました.このテーマでは,波や流れや漂砂が生物活動や水環境に対してどういった影響を与えているかを紐解くことで,豊かな自然環境の回復に貢献しようと取り組んでいます.

河口干潟域における土砂動態と稚貝発生の関連性

豊川河口干潟は,全国でも有数のアサリ稚貝の発生場所です.稚貝の安定供給は1次産業の持続的発展だけでなく,生態系や環境にとっても重要ですが,その資源管理のためには稚貝の発生メカニズムを把握する必要があります.このテーマでは,干潟域の波や流れ,土砂とアサリ稚貝の移動の関連性を紐解くことで,その発生機構の解明を目指します.

汽水湖の水質変化を引き起こす湖内流動特性の解明

浜名湖の水質は排水の規制などによって改善されてきましたが,近年の調査では再び悪化する傾向が見られます.これは,湖内流動による水塊の移動で発生すると考えられており,浜名湖内の流れの特性を明らかにすることが求められています.そこで,現地観測・データ解析や数値計算によって,水質変化を引き起こす湖内の流動メカニズムの解明に向けて研究を進めています.

ウミガメの繁殖行動から見た海岸・砂浜環境の評価

浜名湖今切口(静岡県)〜伊良湖岬(愛知県)へと続く海岸線は「表浜海岸」と呼ばれ,アカウミガメの貴重な産卵場所となっています.この表浜海岸を対象として,アカウミガメの繁殖活動を上陸・産卵・孵化ステージに分類し,海岸構造物や砂浜の幅,海浜植生といった海浜環境要素がアカウミガメの産卵活動に及ぼす影響について調査・研究を行なっています.


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